12/23 WINPALのDG505MBで飛びました。

 

自宅から小山までの経路を研究したところ、高速を利用するととにかく大回りで距離が40km近く長くなるうえ高額な高速道路料金もかかるため、今回は一般道を行ってみることにしました。距離は約110km、千葉市と言っても外房よりからですからそれでも結構な距離になります。

千葉市内を抜け穴川から16号をちんたら野田まで行き、目吹橋を越えて茨城県に入りそのまま結城に向けて北上するコースですが、16号でいつものように何となく平均速度が上がらないのを除けば交通量も少なく快適なドライブで、途中食事を摂ったりしたものの凡そ2時間半で到着しました。ちなみにフライトする時間帯を考えて昼食を抜くつもりでしたので朝食には重いとは思いつつ吉野家で牛丼並汁だくに卵、けんちん汁としっかり食べました。これで450円ですから本当に安くなったものです。

WINPALの事務所で澤田氏とWORDで作成されたチェックリストのレイアウト変更を行ったりした後、ひとしきりセルフローンチの機体特性など聞きます。いずれDG400等の機体に乗りたいという意思を伝えDG505MBでのチェックアウトを当面の目標と置きながら、関東平野の気象状況の実地体験やソアリング技術などと合わせて練習していくことにしました。

11時過ぎに機体を組みにランウェイに出ます。休日でもありオーナー機ばかりの小山は皆さんが出発準備の真っ最中。トレーラーの左右の機体を組むのを手伝って場所を空けてもらい、手際よく機体を組みます。

 

今回は離陸操作から全部やらせてもらうということで、機体を組んだ後まずは外部点検。

一応飛行規定は読んでいるものの実際の機体を前にしないとなかなか手順が身につきませんし、実機を前にして説明してもらわなければ理解できないことも数多くあります。チェックリストには「確認」の一言が書かれているロックピンもピンの入り方やロックのチェック方法などは読んだだけでは判らない最たるものでしょう。ただ、フューエルチェックはギアボックス内の主輪の後ろにあるノブを押すのですが、車輪が巻き込んだ泥がつまってしまう位置でもあり、またどうやっても出てきたオイルまじりのフューエルが手にかかってしまうこともあり、手を汚さずにできる方法はないものかと考えてしまいました。エンジン部の点検はほとんど目視によるものですが、点検のポイントがまだ良くつかめておらず、その構造を研究する必要を感じます。

持参したロガーをセットして機体に乗り込み、マスタースイッチを入れチェックリストに従ってエンジン始動、すぐに回転が安定したのでマグネトーチェック、フルパワーチェック、ブースターチェック等をやって離陸準備を完了しました。飛行機の4サイクルエンジンと違って暖気運転がほとんど必要なく、回転が安定すれば準備良しというのが何とも意外でした。混合オイルの2サイクルということでエンジンオイルを暖める必要がないということは理解できますが、一応水冷なので少しは暖めてからの方が良いのでは、などと考えてしまいます。また、デジタル式の回転計は結構頻繁に表示が変わって見難く、デジタルが必ずしも万能ではなくアナログメーターの視認性の良さを再認識しました。

 

エンジンランナップを完了、組んだ位置から適当にランウェイ01を使用しての離陸。

軸線をどう設定するのか離陸滑走を開始する前に明確に決めておかなかったのが第一の失敗。後席から左に偏向しているとの指摘を受けて右に修正するものの、目標物を探している間にまた左に偏向。やっと、ランウェイが土手に消滅する地点に車が停まっているのを発見し、その左に目標を取ることができ方向が安定しました。左偏向はプロペラエフェクト等ではなく単に左からの風による風見効果ということです。

離陸は前回スティックを引きすぎた失敗をしていたので今回はとにかく一輪車の姿勢を保持するようにしていたのですが、不整地の影響によるバンピングを我慢しきれず、浮揚速度ぎりぎりで「浮こう」という意識が強くでてしまい、逆に「まだ少し抑えなければ」という意識もあって浮揚してから上昇姿勢が確立できず不用意に速度を出しすぎてしまいます。離陸のトリムセットを聞いておかなかったのもミスの一つですが、後で聞いたところおおよそニュートラルで良いということでした。速度計を確認する余裕もあまりなく、とにかく外の見え具合で姿勢を保持。事前に教わった上昇パターンを思い出しながら右回りに鬼怒川を回りこみ、ランウエイをオーバーフィールドして5kmほど西にぽつんと見える雲に向かって上昇を続けました。何時に無く緊張していたように思います。

 

上昇姿勢を確立して周りを見ると2時方向に西に向かって曳航されて行くグライダーが一機。空中で見るグライダーが何と行っても一番美しいと思います。2000ftを過ぎ3000ftを越えてもまだ雲には届きません。後席にエンジン格納のタイミングを相談してみたところ、とにかくイニシャルの高度が獲得できる空域まで行った方が良い、とのことで雲の下まで動力で行くことにしました。

丁度小山駅の上空で雲の直下に到着、エンジンをアイドルにして少しクーリング。エンジン格納操作は初めてなので直線飛行のまま操作をしますが、急に速度が死んで頭上げになり若干慌てました。後で聞いたところCGより上にあるエンジン出力による推力がなくなり、それまで頭下げに働いていたモーメントがなくなるため急にピッチアップになるということで、エンジン出力の変化に伴うピッチの変化に対応できるようにしておくべきとのことでした。

エンジン停止から格納はフルオートであり操作としてはイグニッションを切ってミラーで格納動作を確認するだけですが、スイッチの操作でエンジンの爆発は止まったもののプロペラの回転が止まりません。どうなったのか思いを巡らすうちに後席からプロペラのブレーキシューが飛んだ可能性があるということで、ちょうど飛行前に説明を受けていた格納のトラブルをアクチュアルに体験することになりました。

取り敢えず手動によるプロペラブレーキを試してみるべく速度を抜いてプロペラの回転速度を遅くし、ミラーを見ながらプロペラが垂直になったところで思いっきりブレーキを引いてみます。プロペラは一旦停止して格納が始まったのでほっと安心したのも束の間、格納途中でヘロッと斜めになってしまいました。後席にコントロールを渡して対応を見守っていましたが、結局再び速度を出してプロペラを回転させ垂直になったタイミングで機首を上げて失速させ、気流がプロペラに当たらないようにしながら格納させるという大技で事なきを得ました。この間の失高は約1000ft。どうしても格納できない場合はエンジンを再スタートして滑空場上空まで戻り、エンジンを出したまま着陸するということでした。

 

貴重な体験をした後はグライダーモード。上方に見える雲に取り付きますが私の腕ではサーマルを使い切ることができず、イニシャルの上昇は後席にお任せ。他の機体からの無線で高度7000ftまで取れるとの情報。クロスカントリーのバンドとしては最高高度の半分までを使用すること、できれば上方3分の1程度にいる方が確実であることなどを教わりながら徐々に小さくなっていく町を不思議な感覚で眺めます。この条件だと自分では間違いなくバッタ飛びになるのに、荒れた小さなサーマルでも上がれるソアリングの技術があればこれほどにまで高度を取り、クロスカントリーに出かけることができる。知らない世界に連れてきてもらった感覚でした。

先ほどまで単独に見えていた上方の雲は西の方に何となくストリートになりそうな気配。

3500ftまで上げてもらった後コントロールをもらって後席が指し示すモアモアとした出来かけの雲の方向に機体を向けて行きます。

出来かけの雲に近づきあたりを探るとバリオが上を向き始めます。しばらく我慢してバリオが更に上昇を示すあたりでバンクを入れフラップをセットしてサーマリング。時折風上に向かってバンクを緩め出来るだけサーマルの形をイメージできるように自分なりに機体を操ってみるものの、サーマル自体が荒れていてなかなかうまくコアを掴まえることができません。少し高度が取れたら後席のアドバイスに従って次の出来かけの雲に向かう、といったことを繰り返しながらどんどん西に伸ばして行きます。機体のGPS−NAVはすでに小山から10km以上離れていることを示しています。雲から雲への移動時は150kmまで加速してネガティブ1段にセット、雲に近づいたら少しプルアップしてフラップ0、バンクを入れてからサーマルフラップ、サーマルを抜ける時はサーマルの中で加速しつつ速度に合わせてゆっくりフラップを戻して行くという操作に何となくリズムが出てきた頃、板倉で見慣れたみかも山に近づいていました。高度は5000ft以上をキープ、雲がまとまっている空域に近づくと雲のどこが活動しているかもはっきりと目に見えるようになり、更に高度を上げることができるようになりました。

小山から出た機体が少し上方を西に進んで行くのを目で追いながら、比較的まとまったプラスがあったら回るように考えつつ西へ西へと更に進んでいったのですが、案外150kmで真っ直ぐに飛んでいても長時間プラスになったりするエリアがあるのが知識としては知っていたものの実際に遭遇すると意外な感じでした。また、一度だけ、ガツンと来るサーマルに当たって、本当に「ガツンと来る」というサーマルが体験でき感激ものでした。

足利を過ぎたあたりで雲のエリアを抜け、高崎のあたりに見える大きな雲に向かってブルーのエリアを更に西へ伸ばしてみたのですが、まとまったプラスがなく、鹿島橋から引き返すことにしたのですが、振り返ってみるとこれまであった雲さえもなくなっており、逆にバリオがマイナスに振り切れる状態がずっと続く強烈な沈下帯になっていました。後席に操縦を渡して左右に進路を振ってみるもののなかなか沈下帯を抜けられず、やっと板倉近辺に戻ってきた時には3000ft近くまで落とされていました。

みかも山の近くでDuoDiscusが回っているところへもぐりこんだもののあまり高度が取れず、小山に向かってブルーの中をプラスを探りながら流されて行くようにして戻って行きます。風上に進出する時には結構速度を出す必要があったのですが、風下へ帰っていく時はちんたら回りながらでも案外あっという間に戻ってしまうものだなぁ、というのが正直な感想です。

結城の町に3000ftぐらいで到着、街の上のサーマルにしがみついてゆったりと飛ぶのですが、随分と地上が近く見え、これまでの自分の高度感覚とクロスカントリーをしている高度感覚がモードを切り替えるように違うように感じられたのが不思議でした。

滑空場の上空2000ftでのサーマリング。練習なら離脱高度ぐらいですがほとんど降りなければならないような感覚でお尻にむず痒さを感じながら、小山へ降りて行く単座機が一瞬途切れたところで着陸を決意し、パターンを取るべく北側へ移動しながら高度処理、長めにダウンウインドが取れるようにしてパターンにエントリーしました。高度は1000ft以上あったのですが地表がすぐ近くに思えてすごく怖さを感じます。

速度をセットしながらフラップを一段下げギアダウン、慣れない小山のローカルボイスを口篭りながら送信してフラップをもう一段下げます。後席から01ではなく35でアプローチしてみようということになり鬼怒川にかかるJRの橋の上空を軸線を合わせながら降下して行きますが、上空から見える着陸帯は何とも狭く土手までの距離が短く思え、頭では理解しているもののついついスティックを引き気味になるのをピッチと速度計を見比べながら戦います。設置点手前に駐車している車がどんどん大きく見えて更にプレッシャーを感じながらスレッシュを通過。ちょうど土手の高度あたりで急に速度が抜けるのを認識しつつ、ここからではリカバリーのしようもないためある程度のドン着を覚悟して着陸姿勢を取りますが、案の定ほとんどフレアがないままの接地。目の前に迫ってくるバスに恐怖感を覚えつつ、次第にスピードが死んで十分な距離を残して停まれることが確認でき、やっと全身の力が抜けたような気がしました。やはりランウエイを斜めに使う35へのアプローチはある程度慣れないと難しいそうです。

 

オーナー機は次々に19や35を使用してできるだけ自分のトレーラーに近い位置へと転がって行きます。ただ背風着陸の場合、対地速度がまだある状態でエルロンが効かなくなるため停止間際に翼端を落としてしまう機体もありグランドループを心配させる場面も目のあたりにしました。

 

といことで、2回目のDG505MBも2+45と進出距離45km、フリーフライト93kmのクロスカントリーのさわりに触れることができ、大満足でした。

 

12/23に続いて12/30にまたWINPALのDG505MBで飛びました。

 

前日、23時まで板倉のメンバーと藤岡町のスナックでカラオケ、皆さんどんどん壊れていって私もつい壊れてしましました。(Oさんがあんなにカラオケが好きとは思いませんでした)佐野のホテルには門限を過ぎて到着、朝精算をしてもらって小山へ移動。

予報では前線が通過後強風との予報でしたが、小山付近はそよ風程度。不思議に思っていると、まだ前線面が通過していないとの事。「飛びますか」という澤田さんの問いかけに「もちろん」と答えて事務所を出ます。

 

機体の組み立てを手伝いプリフライトチェック。二度目なので特に問題なく進めて行きますが、やはり手がオイルまじりのガソリンまみれになるフューエルチェックだけは難題です。もっとも、雨水が入るわけでもないのでいっそやめようか、という話になり整備の方と相談していただくこととしました。

 

ランウェイエンドに向かってタキシング、地上旋回は基本的に翼端が付いている方を外にして転回するということが良く理解できました。離陸は前回かなり蛇行したのですが、最初にランウェイエンドに目標を定めることによってかなり改善されました。ただ、離陸姿勢がまだ定まらず、上昇姿勢もつい機首を下げてスピードを得る方向に操作しがちです。

 

5kmほど離れたところにある雲までエンジンを回して取り付き4000ftでエンジンカット。

イグニションをオフにしたものの最後まで格納されず、またもトラブルか、と思ったのですがブレーカ類にも問題はなく手動で格納したところ問題なく格納されました。格納は自動で行われますが確実に格納されるかどうかはパイロットが必ず確認しなければならないということを実感します。

 

弱いサーマルでしたが後席の操縦で高度を取ってもらうと、ちょうど新幹線の線路を境界線に西からのクリアな気団がそれまでの湿った視程の悪い気団をどんどん西へ追いやって行くのが手に取るように見えます。その気団のぶつかる面のコンバージェンスの上昇帯で高度をとり、さらに宇都宮の南に見えている前線性のクラウドストリートを目指しました。

もくもくと動く雲の下に入るとバリオ振り切りのすごい吸い上げ。バリオをほとんど振り切ったまま雲底まで上がります。

 

大きな雲では移動を開始する前に雲のどの当たりに上昇帯があるかを探る方が良い、という後席の説明を聞きながら雲の下を失高することもなく探り、前線の南面が上昇帯であることを確認、雲の端をストリートに沿って150km/h以上のスピードでドルフィン。スピードを出してもほとんど失高せず、教科書通りの雲の段差を間近で観察したり、雲に写る自機の陰の周りに出来る虹に感激したりしながらどんどんストリートを進みます。

 

ストリートが途切れたブルーの空間に飛び出したところ、いきなり空気が静穏になり、あれ、と思っていると後席から「サーマルウェーブかもしれない」とのことでコントロールを渡して探ってもらったところ、弱いながらも確かに整流域があり、もくもくとしたローター雲の前面を風に流されて雲の上に出てしまわないように気をつけながらゆっくりと上昇。結局ロガーのデーターで2903mまで上がることができました。外気温度が-18度でゲルコートの限界近くだったのと、上空で考えていた以上に風に流されて途中からウェーブを外してしまい念願だった「グライダーで10000ft以上に上がる」ことができませんでしたが、遠く相模湾が見えたのは感激でした。

 

西風が卓越するようになると北関東の上空の様相は一変、前線性の雲もきれいに吹き払われサーマルも吹き千切れたものばかり。西の山間部の雪雲の手前に数がどんどん増えていっているこんもりとした積雲にたどりつこうともがいていたところ、その手前の千切れ雲で起死回生の3〜4m/sのプラスに当たり、小さな荒れたサーマルを後席に操縦を代わってもらって上昇、滑空場の位置を確認しつつ風下に出ないように注意しながら少し北側にある新しいストリートに向かいます。

 

ストリートの端っこの雲の下でプラスを捕まえて上がりかけたところ、思いのほか流されてしまいます。後席に操縦を代わってもらって高度の回復を試みますが、上昇より流される方が多く、あたり一面の畑から突然土煙が一斉に上がるとそのサーマルもなくなってしまいました。

小山から11km、2000ftを切りすり鉢の限界です。風上に向かって150km/h以上のスピードでとにかく風上に移動しようとしますが対地的にはほとんど機体の位置は変わらないまま。後席が「これは真剣にやばいかも」と言うのを落ち着いて聞きながら念のために不時着場となるパドックを探してみますが、河川敷以外この大きな機体を安全に下ろせそうなスペースは簡単には見つかりません。

こういう時、いきなり滑空場に向かって飛ぶと途中もし沈下でたたかれたら即アウトなので、小さなプラスでもていねいにドルフィンしながらとにかく風上に上がること、強風の時は2000ft以下で川の土手でも空気の波動ができるのでうまくその上昇帯を使う事、などを教わりながら徐々に深くなる小山のパスに安心感を抱きながら戻っていきました。

 

地上の風はほとんど20m/s近く吹いているため、着陸は後席にお任せしましたがダイブと目一杯動くスティックにはさまれて左足の置き場がないぐらいのアクロバットな着陸でしたが、きちんとランウェイを有効に使ってバスの手前にきちんと停止。

2+46、気象条件がどんどん変化していく中、空の状況に合わせての色んなソアリングの形態を教えてもらって大満足の一日でした。